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センター開所式の挨拶

横浜国立大学学長/先端科学高等研究院長
梅原 出

みなさん、こんにちは、学長の梅原でございます。本日は足元の悪い中、お集まり頂きどうもありがとうございます。台風の研究センターが本学にできるということで、本当に待ちに待った今日でございます。二年ほど前ですね、筆保先生とお話する機会がございまして、「日本には台風の研究センターがないんです」とうようなお話を頂きました。どうしてもこの日本にですね、台風の研究センターを作りたいという熱い思いを語ってくれたのを今思い出しています。筆保さんだけではなくてですね、その向こう側には多くの台風研究者、気象学者の思いがあるということを知りまして、何とかしたい、と思った次第です。

もう二年ほど前だったと思います。今日、台風科学技術研究センターが生まれるわけですけれども、これは、横浜国立大学がどうのこうのではなくて、台風研究者あるいは気象学者の先生方、あるいはその方々を支える皆様の熱い思いが、実現に至った主たる原因であると思っています。皆さんの熱い思いをですね、少しでも本学としてサポートできればと、思っているところです。

先ほどご紹介があったように、先端科学高等研究院というのは、学長が研究院長ということで、マネジメントするということになってございます。学長としてもそうなんですが、先端科学高等研究院長としても、これからも、しっかりと、皆さんをサポートして、日本の台風研究を、今でもトップだと思うんですけれども、更に伸びてゆくようにサポートしてゆきたいと思っています。皆様方におかれましても、ぜひ本学、あるいはこの台風センターをですね、ぜひサポートしていただければと思っているところでございます。

今日この後、センター長、副センター長からですね、熱い思いが聞けると思います。私からはこの位で、やめたいと思います。今日は本当に皆さん集まっていただきまして、どうもありがとうございます。短いですけれども、私のご挨拶としたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

台風科学技術研究センター長
筆保 弘徳

台風科学技術研究センター、センター長に就任します筆保と申します。横浜国立大学の筆保と申します。本日は本センターの立ち上げにお立合いいただきまして、誠にありがとうございます。そして、本日まで、センター立ち上げに感じてご尽力いただきました、本学、梅原学長をはじめ、多くの関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。本日、たくさんの研究者仲間にお集まりいただきまして、幸せを感じております。そして、後ろには多くの報道関係者の方々にご来場いただき、注目していただきまして、社会からの期待を感じているところです。

ここでは、センターの中身についてはまた後でお伝えしますので、センター長として、または個人的な研究者としての思いを伝えさせていただきます。台風の研究をしていると、台風の現象としての発生や発達のメカニズムが時折解明されて、そして予測とかにしていくと、実際来ている台風の、考えた通りの動きをしたりすると、自分の研究はうまくいっているなと、感じるところです。ただ、実際の、現実の台風に目を向けると、台風によって、今来ている台風のように、人間がなすすべもないところで、ひとたび襲来すれば、復興に何年もかかるような大きな被害を受けています。

僕が学生の時に、自分の師匠が災害調査の先生だったので、台風の被災地に連れていってくださったことが何度かあって、そこで見た光景と、今見る、台風によって被災されている場所との光景は、ほとんど一緒です。人間にとって台風は、本当に、大きな被害を与える現象で、脅威の存在では変わっていないです。僕が台風の研究を始めて約20年経っているんですが、自分の研究が、誰かの役に立っているのかと、本当に、今書いている論文が、世界のどこかとつながっているのか、と。台風の研究と現実の台風とのギャップの大きさに驚愕しますし、台風に対して敗北感すら感じています。

また、いま被災されている、台風によって辛い思いをされている人たちを見ると、胸が張り裂けそうになるんですけれども、これから台風の研究を続けて、何回この光景を、何回この胸が張り裂ける気持ちを思うんだろうと思うと、未来に対しても絶望的な気持ちになっています。

そんな時にいただいたのが、台風科学技術研究センターのお話です。ここでは、台風をとことん研究して、そしてその結果を社会に着実に実装するという仕組みを持って、更には、これまでご縁があった台風の研究者や、まだ台風や気象のバックグラウンドを持っていない研究者の方々と一緒に手を取り合って、そして今までできなかった研究ができる、もっと効果的な台風の対策がとれる、社会に根付いた貢献ができるかもしれない、台風の被害は今すぐには減らないかもしれないですけれども、今までと違ったやり方で進んでいきたい、そういった、大きく舵を切りたいと、思えるようになってからは、真っ暗だった未来が、少し光って見えるように、光が見えたような気がしています。

今まで胸の中にあった、台風に対する敗北感とか無力感は、今は台風研究者としての使命感に変わっています。先ほど学長からお話があったように、台風の研究センターを作るのは僕の夢でもありましたし、夢が叶った今、残りの台風研究人生全てを懸けて、そしてセンターにいる研究仲間と一緒に、一丸となって台風と戦っていきたいと、今そう思っております。

台風センターに入ってくださった皆様にも、目いっぱい研究をしていただいて、センターが目指す未来に少しでも力を貸していただければと思います。そして、これまでご支援、ご協力いただきました皆さんにも、変わらず、これからもよろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました。

副センター長
坪木 和久 教授

台風科学技術研究センター、台風観測研究ラボを担当します、副センター長に就任します坪木と申します。どうぞよろしくお願いします。まず始めに、梅原学長、そして横浜国立大学の多くの皆様方に、この素晴らしいセンターを設立していただいたことに対して、深くお礼申し上げます。台風に関する研究センター、これができるというのは、気象の研究をしている者、特に台風の研究をしている者にとっては悲願でありました。何年も前からこういった研究センター、あるいは研究所を作りたいと思っていたんですが、それはなかなか難しいことでした。私自身が研究者であるうちにこのようなセンターができるとは思ってもいなかったわけですけれども、梅原先生の強力な指導のもとに、このような素晴らしいセンターができたことを本当にうれしく思います。

今日は日本の台風の研究における非常に大きな、歴史的な一日だと私は思っています。このようなセンターで、皆様方、特に台風の研究というのはオールジャパンで進めてゆくべきだと思います。その中で、研究をさせていただけるというのは大変ありがたいと思っております。これから、私自身、台風の研究に、より邁進していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

私が担当しますのは、観測です。つい一昨日、いま来ている台風の目の中に飛行機で入ってきました。やはり、そこで見る風景というのは、そこに入って初めて見える、そういうものでしたし、そこで測れる真値、本当のデータというものは非常に貴重なものだと思います。このセンターの台風観測研究ラボでは、航空機の観測、これを強力に推し進めてゆきたいと思っています。センターの開所式よりも二日も早い、若干フライング気味での観測になってしまったわけですけれども、有人の航空機で台風に向かっていって観測をする、それに加えて、今後は無人航空機、こういったものの開発も非常に重要なテーマだと思っています。

そして、10年後、このセンターが十分成熟した頃には、有人機だけでなくて無人機を使った航空機観測というものができている、これが一つの大きな目標だと考えています。このような研究をですね、モデルを用いた研究者、それから災害と直結した部分を研究される皆さん、そういった方々と連携して一緒に台風の研究を進めていきたいと思います。この研究センターで、日本の台風研究というものを強力に進めていきましょう。これからぜひよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

副センター長
佐藤 正樹 教授

ただいまご紹介に預かりました佐藤正樹です。今回、副センター長として台風科学技術研究センターに参加することになりました。よろしくお願いします。私は東京大学大気海洋研究所に勤めておりまして、こちらには兼務としての参加になります。台風研究としまして、気候変動に関する政府間パネルの第六次報告書、IPCC-AR6の執筆に関わりました。温暖化に伴った台風がどのように変化するか、について先頃まとめて発表したところです。それから、文部科学省のスーパーコンピュータ、富岳に関する研究プロジェクト、富岳成果創出研究プロジェクトに関わっています。長年、数値モデルの研究を進めてきまして、全球、最近だとストーム解像モデルという名前で呼んでいますが、モデルを開発して台風の研究を進めてきました。

今回、こちらの台風予測研究ラボのラボ長として参加し、台風の予測研究、数値モデリング研究を進めてゆくこととしております。台風に関するセンターというのは、筆保さんと、10年以上前でしょうか、最初は文部科学省の大型プロジェクトに応募したり、様々な試みをしてきました。何度も何度も、いろいろと構想を練り直して提案をし続けてきました。こういう形で、横浜国大のほうで、台風科学技術研究センターを設立させていただくということは本当に、我々関係者、万感の思いです。

地球温暖化に伴って台風は凶暴化すると、強くなると予測されています。今回の台風16号も、我々ずっと注視していましたけれど、北緯20度を超えて、ひと昔前だったら、それから段々と勢力が衰えるというのが、勢力を維持し、発達するという予測もされていました。こういった、日本近海で台風がさらに強度を増すというのは地球温暖化に伴って予測されていることであり、そういったものを我々見ていたところです。今後も台風の脅威というものは非常に強くなると予測して、我々研究者も、単に研究するだけでなく、それに対して、社会に向かっていろんな警告、用意をするということが使命だと考えています。

この台風科学技術研究センターは、我々気象分野のみならず、防災関係者、工学系の先生、人文・社会の先生、様々な先生との協力のもとで台風に関する脅威、備え、それを社会に発信し、実装すると、そういった指名を帯びていると思います。台風科学技術研究センター、我々、私自身、よりアクティブに推進しようと思っています。皆様の協力、ぜひよろしくお願いします。私の挨拶とさせていただきます。

副センター長
森 信人 教授

ありがとうございます。副センター長を拝命いたしました、森信人と申します。よろしくお願いいたします。本務では京都大学防災研究所の副所長を務めております。兼担になります。まずはこのセンター開所にあたりまして、ご尽力いただきました梅原学長、および横浜国立大学の皆様に感謝申し上げます。私の専門は気象学ではなくて、防災、特に風水害、高潮等の研究をしております。我が国は、先進国の中でも、日本とアメリカの二つがこういう災害をずっと受けてきた国であります。台風の災害で、重要となるのは、人的被害をなくすこと、そして社会経済被害をどれくらい抑えるか、というこの二つがポイントになる思います。

筆保先生も先ほど、被害をどういう風に減らすか、非常に胸が苦しいということを言われておりましたが、人的被害の方はですね、ここ戦後5、60年かかって、一桁、二桁以上減らすことができて参りました。ただ、まだ依然として、ゼロに持ってゆくというのが、防災・減災上、やはり究極の目標であるという風に思います。社会経済の被害につきましては、実は依然として減らずに増えているという傾向がありますので、我が国の国難のような非常に大きな災害を防ぐ上でもですね、やはりこの台風科学技術研究センターを活用して、いかに被害を軽減していくかというのがとても大事かという風に思います。

私は気象学ではないと最初に申し上げましたが、このセンター、「科学技術」研究センターと付いていますので、私の役割は、科学と技術をいかにつないで、防災・減災につなげてゆくかというような役割を頂いているという風に思っています。さらに、科学、科学技術、技術という風に伝わっていきますので、その辺りはもう一人の副センターの満行先生が担当されるという形になると思います。

このような台風科学技術研究センターができてですね、わりかし縦社会と言いますか、あまりうまく交流が進まない台風の気象系の学問と、防災・減災および工学的な支援というものがうまく融合していって、総合学しての、台風に関わる防災学というものが確立いていけばいいのかなと思います。非常に画期的なセンターが出来て、それに携わることができて非常にありがたいと思っております。微力ながら貢献していければという風に思います。本日はありがとうございました。

副センター長
満行 泰河 准教授

みなさん、こんにちは。副センター長を拝命しました、満行泰河と申します。私自身は、横浜国立大学の理工学部海洋空間のシステムデザインEPという所で教員をさせて頂いています。先ほど森副センター長のコメントにもありました通り、私自身も、気象に触れたこともないような人物でございます。私のバックグラウンドとしては、いわゆる海事産業、船の物流と洋上風力発電について、いろいろと活動させていただいています。

私自身の経験からすると、特に洋上風力発電の方で、IASと別のユニットの方で、参画させていただいているプロジェクトがあるんですけど、その中で、日本で洋上風力発電を導入するための障壁は何かって自分なりに考えた時に、やっぱり一つの要因が日本特有の台風、台風のことを考えないと、コスト計算もできないし戦略も練れない、というところで、ああ、こういうことも考えなければいけないんだなあと、その当時、三年前に思って、ちょうど昨年位に筆保先生からご紹介いただいて、台風の研究はこういう方針で進むんだ、といったときにいろいろインスピレーションがうわーっと沸いてきて、例えば今回私自身は台風発電ラボというところで、台風発電という、たぶん世の中で誰も考えたこともないようなことにチャレンジをするというのが私のミッションになっているんですけど、例えば、風車が動いたらどうなるかとか、台風が予測されたらそれなりの戦略ができると、我々は、特に私自身は、台風のことを全く知らないのでそういうことも発想もできなかったんですけど、このセンターの皆様の力を結集すれば、台風のことを今よりももっと知れる、もっと知ったら、それに対してうまく利用することもできるだろうと、いう風なことを私自身は思っています。

こういう野望を抱えながらこのセンターに参画しているので、皆様、いろいろとディスカッションさせていただければと思います。あともう一点、言いたかったことは、特に気象学の皆様を中心として、たぶんこのセンターの活動を続けると台風の研究がぐわーっと進んでいくと思います。それをすごく期待しています。

一方で、台風を中心として研究を進めると同時に、裾野を拡げる。私自身、台風を利用したいなと、2050年には利用したいなと。先ほど森副センター長も仰った通り、私、技術の人間、工学の人間なんですけど、技術だけではなくてそこから産業を創る、といったところも野望として、2050年には台風を利用する産業を創る、そのはじめの一歩と、基幹的な部分をこのセンターで作るということを私自身、目標として掲げています。ぜひ皆様、ご協力のほど宜しくお願いします。これで私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 

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